「SM」という言葉は「サディズム」「マゾヒズム」を略したもの、というのは皆さんご存じかと思います。
サディズムは、相手に身体的虐待を与えたり精神的苦痛を与えることで性的快楽を得る嗜好のこと、マゾヒズムは、逆に自分が苦痛や屈辱を受けることで性的快楽を得る嗜好のことを指します。
この「サディズム」と「マゾヒズム」、実はどちらも実在した人物名が由来になっているんです。
サドの波乱万丈な人生
まず「サディズム」の由来となったのは「マルキ・ド・サド」という18世紀の人物で、フランスの貴族であり小説家です。
激動のフランス革命期を生きたサドは、74年の生涯のうち30年間近くを監獄や精神病院で過ごしました。
そこで残した作品は暴力的なポルノグラフィーを含んだものが多く、19世紀には禁書扱いされたそうです。
現代人には理解できないほどの異常な性的快楽が原因で、生涯の半分近くを獄中で過ごしたサドですが、そこに秘めた情熱は結果的に、過激すぎる描写を含んだ作品に姿を変えていきました。
マゾッホの順風満帆な人生
一方「マゾヒズム」の由来となったのは「ザッハー・マゾッホ」という19世紀の人物で、オーストリアの貴族でありこちらも小説家です。
サドが人生の半分近くを牢獄や精神病院で過ごしたのとは対照的に、マゾッホは幼少期から神童の扱いを受け、20才の若さで大学講師になるなど順風満帆な人生でした。
「毛皮を着たヴィーナス」という作品を書いて有名になったマゾッホは、実生活でも小説の通りの生活をしたと言われています。
マゾッホはアウラという女性と結婚しますが、彼はアウラに小説と同じワンダという名を名乗らせて「マゾ的生活」の契約を結ぶことになります。
「ワンダが女主人、マゾッホが奴隷としてどんな命令にも従う」といった内容で、ワンダ(アウラ)に高級な毛皮コート、ムチやハイヒールなどを与えてSMプレイを日夜楽しんでいたそうです。
「SM」という一大ジャンルとして後世に名を遺した二人
両極端な生涯を送った二人のド変態貴族。
まさか自分の名前が現代エロの一大ジャンルとして使用されるなんて思ってもみなかったはずですが、二人にとっては最高の名誉なのかもしれませんね(笑)
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