いろいろな料理に使用されるトマトは、世界中で愛される食材のひとつですよね。
本日はそんなトマトに関するさまざまな雑学をご紹介します。
「トマト」の名前の由来
「トマト」という名前は、ナワトル語の「トマトゥル」が由来とされています。
ナワトル語はメキシコの先住民であるアステカ人が使用した言語で、トマトゥルは「膨らむ果実」という意味です。
トマトゥルはもともと「ホオズキの実」を指していましたが、メキシコでは形のよく似たトマトにもその名称が当てられたのです。
またトマトは漢字で「唐柿(からがき・とうし)」「蕃茄(ばんか)」といいます。
日本にトマトが伝わったのは1600年後半頃で、中国から伝わったとされています。
当時の日本では中国を唐と読んでおり、見た目が柿に似ていたことから「唐柿」と名付けられました。
もうひとつの呼び名「蕃茄」は中国から伝わった漢字です。
当時の中国では、自国より西にある国は蕃族と呼ばれていました。
トマトは西欧、つまり蕃族から伝わったもので、さらに見た目が茄子(ナス)に似ていたことから蕃茄と呼ばれるようになりました。
悪魔の実と恐れられたトマト
トマトの歴史は、現在のペルーを中心としたアンデス山脈周辺からはじまります。
アンデス山脈は太陽光が強く、年間降水量も平均で100m以下と乾燥した地域です。
今でもトマトが乾燥を好むのは、このことが関係しています。
トマトが世界中に広まったのは、16世紀に船で世界の海を渡り歩いたスペイン人「エルナン・コルテス」がきっかけと言われています。
コルテスはメキシコへ攻め入った時に、アステカ王国からトマトをヨーロッパへ持ち帰りました。
しかし当時の人々は、トマトがベラドンナという猛毒の植物によく似ていたことから、「トマトは毒をもった悪魔の実だ」と考えていました。
そのため当時はトマトは食用ではなく観賞用だったのです。
それが17世紀の終わりごろになると、イタリアで発生した飢饉対策としてトマトが食べられるようになりました。
食べてみると毒はなく、味もおいしいと分かったのでヨーロッパから世界中に広まったのです。
トマトは野菜?果物?
トマトは野菜として扱われることが多いですが、リンゴやサクランボのように果物っぽい見た目をしていますよね。
定義上はどちらなんでしょうか。
実はこの議論をめぐって、過去にアメリカで裁判にまで発展したことがあるんです。
19世紀のアメリカでは、輸入果物には関税が課されていなかった一方で、輸入野菜には10%の関税が課せられていました。
そこでなんとかトマトを非課税で輸入したい業者は、1893年の裁判で「トマトは果物だ!」と主張しました。
この裁判は最高裁まで持ち越されましたが、結果的に「トマトは野菜畑で育てられ、メインコースには出されるがデザートにはならない」という理由から「トマトは野菜である」と判決が下されました。
日本の関税率表でも、トマトは「食用の野菜」と決められています。
しかしトマトの赤い実は花が咲いた後に残る果実の部分であるため、植物学的には「果物」ともいえます。
そもそも野菜と果物は学術的に区別がされていないので、分類は国によって違ったり、同じ国の中でも分野ごとに解釈が変わるのです。
コメント